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ガイド Matt Connor著者 Matt Connor

Immichをタグとフォルダで整理する方法:階層タグとXMP連携の実際

Google PhotosやNASのフォルダ整理から移った人へ。Immichのタグ、フォルダビュー、ストレージテンプレートの役割の違いと、階層タグの作り方、XMPサイドカーへの書き戻し、既存キーワードの取り込み順をv3.2.4で確認しました。

Immichでタグとフォルダを使って写真を整理するには

Immichで写真をタグとフォルダで整理するには、まずアカウント設定でタグ機能とフォルダビューを有効にします。タグはスラッシュで区切ると階層になり、Immichで付けたタグはXMPサイドカーファイルにも書き戻されます。フォルダビューは、ディスク上の元のフォルダ構成をそのまま見るための画面です。

この記事は、2026年10月時点の最新リリースであるImmich v3.2.4のドキュメントとソースコードで確認した内容に基づいています。操作はすべてWeb UIで説明します。メニュー名は英語表記で書きますが、表示言語を日本語にしている場合は対応する日本語のラベルに読み替えてください。

Immichはなぜフォルダ中心ではないのか

NASで写真を 2019/京都旅行/ のようなフォルダに分けてきた人は、Immichを開いて少し戸惑うはずです。Immichの基本画面はタイムラインで、撮影日時の順に写真が並びます。フォルダを作って写真を移動する、という操作はありません。

これは設計上の選択です。Immichは写真をデータベースで管理し、ファイルの置き場所とは別に、日付、場所、人物、アルバムで写真を探せるようにしています。一枚の写真が一つのフォルダにしか入れられない構造だと、「2019年の旅行」と「家族の写真」の両方に同じ写真を入れることができません。タグとアルバムなら、一枚の写真をいくつにでも分類できます。

それでも、昔ながらの整理方法を完全に捨てる必要はありません。Immichには、フォルダ的な整理に近い仕組みが三つあります。

  • タグ:写真に付けるラベルです。階層を持てるので、フォルダ分けの感覚に一番近い道具です。
  • フォルダビュー(Folders):ディスク上の元のパスを、ファイルエクスプローラーのように見る画面です。
  • ストレージテンプレート:アップロードされた写真を、どんなフォルダ名で保存するかを決める設定です。

このうちストレージテンプレートは、写真がディスクのどこに置かれるかという話なので、ImmichのDockerが写真をどこに保存するかの記事で詳しく説明しています。ここでは、テンプレートがフォルダビューの見え方を決める、という点だけ押さえておけば十分です。

Google Photosから移ってきた人には、フォルダという考え方がもともとありません。Google Photosのアルバムは、Immichのアルバムにほぼそのまま対応します。移行の手順そのものはGoogle PhotosからImmichへ移行してセルフホストする方法を参照してください。この記事では、移行したあとにどう整理するかを扱います。

タグ機能を有効にする

タグ機能は、ユーザーごとに初期状態では無効になっています。管理者が一度有効にすれば全員に効く、という設定ではありません。家族で一つのImmichを使っている場合は、それぞれが自分のアカウントで有効にします。

  1. 右上のアカウントアイコンから Account Settings を開きます。
  2. Features を開きます。
  3. Tags をオンにします。

有効にすると、左のサイドバーに Tags が表示されます。ここが、タグの一覧と階層を見る画面です。表示されない場合は、設定を保存したアカウントと、いま見ているアカウントが同じかを確かめてください。

写真にタグを付けるには

写真を一枚開き、情報パネルを表示します。パネルの下のほうに + Add ボタンがあるので、それを押します。入力欄が出るので、既存のタグを選ぶか、新しいタグ名を入力して作成します。

付けたタグは情報パネルに表示されます。そのタグをクリックすると、同じタグが付いた写真の一覧に移動します。サイドバーの Tags からも同じ一覧にたどり着けます。

スラッシュで階層タグを作る

タグ名にスラッシュ / を入れると、階層になります。たとえば Travel/Japan/Kyoto と入力すると、Travel、その下の Japan、さらにその下の Kyoto という三段のタグが一度に作られます。親のタグを先に作っておく必要はありません。v3.2.4のソースコードでは、タグの値を / で分割し、上の階層から順に、なければ作成する処理になっています。

これが、フォルダ分けに一番近い使い方です。NASで Travel/Japan/Kyoto/ というフォルダを使っていた人は、同じ文字列をタグにすればよいわけです。違いは、一枚の写真に Travel/Japan/Kyoto と Family/Grandparents の両方を付けられる点です。フォルダでは、どちらか一方にしか置けませんでした。

階層の付け方には、いくつか実用上の注意があります。

  • スラッシュは区切り文字として扱われます。 AC/DC というバンド名をそのままタグにすると、AC の下に DC がある二段のタグになります。名前にスラッシュを含めたい場合は、別の文字に置き換えてください。
  • 最初に階層の設計を決めておくと楽です。 Travel/Japan と Japan/Travel は別のタグです。後から片方に統一するのは、写真の枚数が多いほど手間になります。
  • 深くしすぎないことです。 三段から四段あれば、たいていの分類には足ります。

例では英数字のタグ名を使っています。日本語のタグ名を使う予定がある場合は、全体に適用する前に、数枚の写真で次の二点を確かめてください。一つは、旅行/日本/京都 のような日本語の階層が Tags 画面で期待どおりの木構造になるか。もう一つは、検索でそのタグが見つかるかです。自分の環境で確かめてから使い始めれば、数千枚に付けたあとで困ることはありません。

複数の写真にまとめてタグを付ける

一枚ずつ情報パネルを開くのは、移行直後の大量の写真には向きません。タイムラインや検索結果で複数の写真を選択すると、選択中の写真に対する操作メニューが出ます。そこからタグ付けを選べば、選んだ写真すべてに同じタグが付きます。

実際の手順としては、まず日付や場所で絞り込みます。たとえば地図や検索で京都の写真を出し、まとめて選択して Travel/Japan/Kyoto を付けます。撮影日時がずれている写真は、この絞り込みから漏れます。タグ付けの前に、日付のおかしい写真がないかタイムラインで一度見ておくと、取りこぼしが減ります。

タグはXMPサイドカーに書き戻される

Immichでタグを追加したり外したりすると、その変更はデータベースだけでなく、XMPサイドカーファイルにも書き込まれます。XMP(Extensible Metadata Platform)は、写真のメタデータを記録するための形式です。サイドカーファイルとは、写真本体の横に置かれる .xmp ファイルのことで、IMG_0001.jpg に対して IMG_0001.jpg.xmp という名前になります。

タグを変更すると、Immichは Sidecar Write というジョブを自動で登録します。このジョブが、タグを digiKam:TagsList というXMPのフィールドに書き込みます。写真本体のファイルは変更されません。ドキュメントによると、書き込みはサイドカーの内容を丸ごと置き換えるのではなく、既存のフィールドと統合されます。

この仕組みには大事な意味があります。タグがImmichのデータベースの中だけにあると、Immichをやめた時点でタグも失われます。サイドカーに書かれていれば、digiKamやdarktableなど、XMPを読める別のソフトでもタグを使えます。

書き戻しが黙って失敗するケース

外部ライブラリ(External Library)として、既存のNASのフォルダをImmichに読み込ませている場合は注意が必要です。Immichがそのフォルダに書き込めるなら、タグの変更は元の場所の .xmp に書き戻されます。

問題は、フォルダを読み取り専用(:ro)でマウントしている場合です。ドキュメントには、この場合はサイドカーもデータベースも更新できず、メタデータの編集が警告なしに失敗すると書かれています(GitHubのissue #10538)。タグを付けたはずなのに、再読み込みすると消えている。この症状が出たら、まず docker-compose.yml で外部ライブラリのマウントに :ro が付いていないかを確認してください。

既存のキーワードはどの順で取り込まれるか

ほかのソフトで付けたキーワードがある写真は、Immichに取り込むときにそのキーワードがタグになります。ここで知っておくべきなのは、Immichが読むフィールドには優先順位があることです。v3.2.4のドキュメントとソースコードでは、次の順で探します。

  1. digiKam:TagsList
  2. lr:HierarchicalSubject
  3. IPTC:Keywords

ソースコードを見ると、これは「上から順に探して、最初に見つかったフィールドだけを使う」処理です。三つを合わせて読むわけではありません。つまり、TagsList が一つでもあれば、HierarchicalSubject と Keywords に何が書かれていても読まれません。

これが実際に効いてくるのは、Immichと別のソフトの両方でタグを編集する場合です。Immichは TagsList に書き込みます。一度Immichでタグを編集すると、そのサイドカーには TagsList ができます。そのあと別のソフトが HierarchicalSubject だけを更新しても、Immichの次回の読み込みでは TagsList が優先されるので、その更新は反映されません。

Lightroom Classicから移る人は、特にこの点を自分のファイルで確かめてください。Lightroomの階層キーワードがImmichでどんな階層として見えるかも、数枚で試してから全体に適用するのが安全です。

ファイルにどのフィールドがあるか確かめる

どのフィールドにキーワードが入っているかは、exiftool で確認できます。Ubuntuでは次のコマンドで入ります。

sudo apt update && sudo apt install -y libimage-exiftool-perl

写真本体とサイドカーの両方を見ます。-G1 は、各値がどのグループのフィールドから来たかを表示するオプションです。

exiftool -G1 -TagsList -HierarchicalSubject -Keywords -Subject IMG_0001.jpg
exiftool -G1 -TagsList -HierarchicalSubject -Keywords -Subject IMG_0001.jpg.xmp

出力の各行の先頭に [XMP-digiKam] や [XMP-lr] のようなグループ名が出ます。[XMP-digiKam] の行があれば、そのファイルではそれがImmichに読まれる値です。ほかの行の内容が違っていても、それは無視されます。

Ubuntu 24.04のパッケージでは、コマンド名は exiftool です。command not found と出る場合は、上のインストールが終わっていません。

既存のキーワードを取り込み直すには

Immichを入れたあとでタグ機能を有効にした場合や、サイドカーを後から外部で編集した場合は、タグが自動では更新されません。キーワードはメタデータ抽出のときに読まれるので、そのジョブを動かし直す必要があります。

管理画面(Administration)のジョブの画面に、メタデータ抽出のジョブがあります。これをすべての写真に対して実行すると、既存のキーワードがタグとして取り込まれます。写真の枚数が多いと時間がかかり、その間はCPUとディスクの負荷が上がります。夜間など、使っていない時間に実行するのがよいでしょう。

同じ画面には、サイドカー用のジョブも二つあります。

  • DISCOVER:まだ写真と結び付いていない新しい .xmp ファイルを探します。サイドカーを後から置いたときに使います。
  • SYNC:結び付いている .xmp ファイルを読み直し、データベースのメタデータを更新します。外部のソフトでサイドカーを編集したあとに使います。

サイドカーのファイル名にも決まりがあります。IMG_0001.jpg.xmp と IMG_0001.xmp は認識されますが、IMG_0001_meta.xmp のような名前は認識されません。両方の形式がある場合は、IMG_0001.jpg.xmp のほうが使われます。キーワードが取り込まれない場合は、ファイル名がこの形になっているかを先に確かめてください。

フォルダビューで元のフォルダ構成を見る

フォルダビューは、タイムラインとは別に、ライブラリの中のフォルダとファイルをファイルエクスプローラーのように見る画面です。v3.2.4の時点での名前は Folders です。

  1. Account Settings を開きます。
  2. Features を開きます。
  3. Folders をオンにします。

オンにすると、サイドバーに Folders が表示されます。ここから、写真の元のパスをたどって閲覧できます。

フォルダビューが役に立つかどうかは、そのフォルダ構成が人に読める形になっているかで決まります。役に立つのは、主に次の二つの場合です。

  • 外部ライブラリを使っている場合:NASで長年整えてきたフォルダが、そのままの名前で見えます。2019/京都旅行/ という構成なら、Immichでもその構成で見られます。
  • ストレージテンプレートを有効にしている場合:アップロードされた写真が、テンプレートで決めた年や日付のフォルダに保存されるので、その構成で見られます。

逆に、スマートフォンからアップロードしただけで、ストレージテンプレートを無効のままにしている場合は、フォルダ名は人が読むためのものになっていません。この場合のフォルダビューは、整理の道具としてはあまり役に立ちません。テンプレートを有効にするかどうかと、その書式は、写真の保存場所とストレージテンプレートの解説で判断してください。

フォルダビューは、あくまで今あるフォルダを見るための画面です。ここでフォルダを作ったり写真を移動したりして整理する使い方は想定されていません。分類を増やしたいときは、タグかアルバムを使います。

タグ、アルバム、フォルダをどう使い分けるか

どれも「写真をまとめる」ものですが、向いている用途は違います。

  • タグは、写真の内容による分類に向いています。Travel/Japan/Kyoto、Food/Ramen、Scan/Film のように、長く使い続ける分類の軸を作ります。XMPに書き戻されるので、Immichの外にも持ち出せます。
  • アルバムは、出来事や共有の単位に向いています。「2026年の運動会」のように、家族と共有したい一回分のまとまりです。アルバムはImmichの中の仕組みで、XMPには書かれません。
  • フォルダビューは、元のファイルの置き場所を確かめるための画面です。分類を作る場所ではなく、既存の構成を見る場所です。

NASのフォルダ整理から来た人に勧める組み合わせは、こうです。既存のフォルダ構成は外部ライブラリとして読み込み、フォルダビューで見られるようにしておきます。そのうえで、新しく分類を足したくなったらタグを使います。こうすれば、昔の整理を壊さずに、一枚の写真を複数の分類に入れられるようになります。

PhotoPrismなど、ほかの写真管理ソフトと比べてImmichを選ぶかどうか迷っている段階なら、PhotoPrismとImmichの比較で整理の考え方の違いを確認できます。

タグのバックアップはどこにあるか

タグは二か所に記録されます。一つはImmichのデータベース(PostgreSQL)で、もう一つはサイドカーの .xmp ファイルです。写真ファイルだけをバックアップしてデータベースを残さないと、Immichを作り直したときにアルバムは失われます。タグはサイドカーから読み直せますが、そのためにはサイドカーもバックアップに含まれている必要があります。

アップロードされた写真のサイドカーは、写真本体と同じライブラリのフォルダに置かれます。写真のフォルダを丸ごとバックアップしていれば、サイドカーも一緒に保存されます。データベースのダンプを含めた手順は、Immichのバックアップと復元の手順にまとめています。

FAQ

Immichのタグ機能はどこで有効にしますか?

各ユーザーが自分の Account Settings を開き、Features の中の Tags をオンにします。管理者が全員分をまとめて有効にする設定ではないので、家族で使っている場合はそれぞれのアカウントで操作が必要です。有効にすると、左のサイドバーに Tags が表示されます。

Immichで階層タグを作るにはどうすればよいですか?

タグ名をスラッシュで区切って入力します。Travel/Japan/Kyoto と入力すると、Travel、Japan、Kyoto の三段が一度に作られ、親のタグを先に作る必要はありません。スラッシュは常に区切り文字として扱われるので、名前の一部としてスラッシュを使いたい場合は別の文字に置き換えてください。

Lightroomなどで付けたキーワードがImmichに出てきません。なぜですか?

Immichはキーワードをメタデータ抽出のときに読むので、タグ機能を有効にする前に取り込んだ写真や、外部で編集したサイドカーは、管理画面でメタデータ抽出のジョブか、サイドカーの SYNC ジョブを実行し直す必要があります。また、Immichは digiKam:TagsList、lr:HierarchicalSubject、IPTC:Keywords の順に探し、最初に見つかったフィールドだけを使います。exiftool -G1 -TagsList -HierarchicalSubject -Keywords でどのフィールドに値があるかを確かめてください。

Immichでタグを編集すると元の写真ファイルは書き換えられますか?

写真本体は書き換えられません。タグの変更は、写真の横にある .xmp サイドカーファイルの digiKam:TagsList に書き込まれ、既存のほかのフィールドとは統合されます。ただし外部ライブラリを読み取り専用でマウントしている場合、ドキュメントによると編集は警告なしに失敗するので、マウントに :ro が付いていないか確認してください。

フォルダビューが表示されません。どこで設定しますか?

Account Settings の Features で Folders をオンにすると、サイドバーに Folders が表示されます。表示されても中のフォルダ名が読めない場合は、ストレージテンプレートが無効のままになっていることが多いです。テンプレートを有効にするか、整理済みのフォルダを外部ライブラリとして読み込むと、フォルダビューが整理の道具として使えるようになります。

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