日本で無料VPSはある?永久無料のOracle Cloudと試用・無料枠の違い
日本リージョンで期限なく無料で動くVPSは、2026年10月時点でOracle CloudのAlways Freeだけです。Google Cloud、AWS、XServer VPSの無料枠との違いと、回収や更新、転送量の落とし穴を整理します。
VPSは永久無料で使えるのか
日本のリージョンで期限なく無料で使えるVPS(仮想専用サーバー)は、2026年10月5日時点でひとつだけです。Oracle Cloud Infrastructure(以下OCI)の「Always Free」です。ホームリージョンを東京か大阪にすれば、終了日のないサーバーを国内で動かせます。それ以外の「無料」は、期間の決まった試用、使い切りのクレジット、条件付きの無料プランのどれかです。
この違いは大事です。試用は期限が来れば止まります。クレジットは使い切れば止まります。無料プランは条件を守らなければ削除されます。どれも「無料」と書かれていますが、サーバーが消えるタイミングがまったく違います。VPSの仕組みそのものから確認したい場合は、先にVPSとは何か、共用サーバーとどう違うかを読むと、この先の話が追いやすくなります。
日本から使える無料VPSの比較(2026年10月5日時点)
以下は、2026年10月5日に各社の公式ページで確認した内容です。条件はよく変わります。申し込む前に、必ず公式ページで最新の条件を確かめてください。
- OCI Always Free(東京・大阪):AMDの小型VMが2台(各1/8 OCPU、メモリ1GB)と、Arm系のAmpere A1が月1,500 OCPU時間・9,000 GB時間(常時2 OCPU・12GB相当)。期限なし。ホームリージョンでしか作れず、アイドルと判定されると回収されることがある。
- Google Cloud 無料枠:e2-micro 1台分。期限なし。動かせるのは米国の us-west1、us-central1、us-east1 だけ。北米からの送信転送量は月1GBまで。
- AWS 無料プラン:2025年7月15日以降に作ったアカウントが対象。クレジット制で、作成から6か月か、クレジットを使い切った時点のどちらか早いほうで終わる。
- XServer VPS 無料プラン:国内事業者の無料プラン(2GBと4GB)。契約は最大24時間で、手動で更新し続ける必要がある。2026年7月10日から新規受付を停止中で、再開時期は未定。
- さくらのVPS:無料プランではなく、2週間の無料お試し。支払い方法にクレジットカードを選んだ場合だけ使える。
サーバーが日本国内にあり、しかも期限がない。この2つを同時に満たすのはOCIだけです。Google Cloudは期限がありませんが、サーバーは米国にあります。AWSとさくらのVPSは国内で動かせますが、期限があります。XServer VPSは国内で期限の定めもありませんが、24時間ごとの更新が条件で、いまは新しく申し込めません。
OCI Always Free:日本で唯一の期限なし無料枠
OCIのAlways Freeは、アカウントを作るとすべてのテナンシー(OCIでの契約単位)に付く無料枠です。トライアルのクレジットとは別物で、終了日がありません。
何が無料になるのか
OCIの公式ドキュメントで2026年10月5日に確認した内容は次のとおりです。
- AMDの
VM.Standard.E2.1.Microが最大2台。各1/8 OCPUとメモリ1GB。 - Ampere A1(
VM.Standard.A1.Flex)が月1,500 OCPU時間と9,000 GB時間。常時動かすと2 OCPU・12GB分になる。 - ブートボリュームとブロックボリュームの合計で200GB。
- 送信方向の転送量(egress)が月10TB。
OCPU(Oracle CPU)はOCIのCPUの単位です。Ampere A1では1 OCPUが物理コア1つにあたります。1か月はおよそ750時間なので、1,500 OCPU時間は2 OCPUを1か月動かし続ける量です。9,000 GB時間も同じ計算で12GBになります。
古いブログ記事には「4 OCPU・24GBまで無料」と書かれていることがあります。これは現在の数字ではありません。いまの公式ドキュメントの数字は2 OCPU・12GBです。古い記事のとおりに4 OCPUで作ると、無料枠を超えた分の扱いが問題になるので注意してください。
ホームリージョンは最初に決めたら変えられない
Always Freeのコンピュートは、ホームリージョンにしか作れません。ホームリージョンはアカウント登録のときに選び、あとから変えられません。日本で使うなら、登録画面で東京(ap-tokyo-1)か大阪(ap-osaka-1)を選びます。ここで米国のリージョンを選ぶと、無料のサーバーはずっと米国で動くことになります。
登録にはクレジットカードによる確認が必要です。Always Freeの範囲だけを使っているかぎり料金は発生しません。ただし、カードを持っていない人はこの時点で先に進めません。
「Out of host capacity」と出て作れない
インスタンスを作ろうとして Out of host capacity というエラーが出ることがあります。これは、ホームリージョンにAlways Free用のシェイプ(サーバーの型)の空きが一時的にないという意味です。設定の誤りではありません。ドキュメントは一時的な不足と説明しているので、時間を置いて作り直します。ホームリージョンは変えられないので、別のリージョンで作って解決することはできません。
アイドルと判定されると回収される
OCIは、使われていないAlways Freeのインスタンスを回収します。判定の基準は7日間の使用率です。CPU使用率の95パーセンタイルが20%未満、ネットワーク使用率が20%未満、そしてA1の場合はメモリ使用率も20%未満。これらがすべて当てはまると、アイドルと判定されます。
つまり、アクセスの少ない個人サイトや、ほとんど待機しているだけの検証用サーバーは、この条件に当てはまりやすいということです。回収に備えて、設定はスクリプトに書いて残し、データは別の場所にバックアップしておきます。作り直しに時間がかからなければ、回収されても困りません。
Ampere A1はArmのCPU
12GBのメモリが使えるのはAmpere A1のほうで、これはArmアーキテクチャのCPUです。x86向けにしか配布されていないソフトウェアやDockerイメージは、そのままでは動きません。作ったあと、次のコマンドで確かめられます。
uname -m
nproc
free -huname -m が aarch64 と表示されればArmです。nproc には割り当てたOCPUの数が出ます。free -h のメモリ合計は、割り当てた12GBより少し小さい値になります。カーネルが一部を予約するためです。Armで困ることと困らないことは、ArmのVPSとx86のVPSの違いで詳しく説明しています。
Google Cloudの無料e2-micro:期限はないが米国にある
Google Cloudの無料枠には、e2-micro 1台分のコンピュートが期限なしで含まれます。標準の永続ディスクも30GB分付きます。ただし対象のリージョンは米国の3つだけです。オレゴン(us-west1)、アイオワ(us-central1)、サウスカロライナ(us-east1)です。東京(asia-northeast1)や大阪(asia-northeast2)でe2-microを作ると、無料枠の対象外になり料金がかかります。
サーバーが米国にあるので、日本からのリクエストはすべて太平洋を越えます。SSHでの操作やWebページの表示は、国内のサーバーより遅く感じます。どのくらい遅いかは、使う回線とリージョンによって変わります。ここでは数字を載せません。次の節の方法で、自分の回線から測ってください。
もうひとつの制限は転送量です。無料枠の送信転送量は、北米から各地域(中国とオーストラリアを除く)へ月1GBまでです。1GBは小さな数字です。画像の多いページを公開すると、すぐに超えます。超えた分には料金がかかります。
太平洋越しの遅延を自分で測る
遅延は、自分の回線から実際に測るのがいちばん確実です。サーバーを作ったら、外部IPアドレスを変数に入れて、次のコマンドを実行します。203.0.113.10 は例なので、自分のサーバーのアドレスに置き換えてください。
SERVER_IP=203.0.113.10
ping -c 20 "$SERVER_IP"最後に表示される rtt min/avg/max/mdev の行が往復時間(ミリ秒)です。avg が平均、mdev がばらつきです。ばらつきが大きいと、SSHでの入力が引っかかるように感じます。
途中の経路も見たい場合は mtr を使います。
sudo apt install -y mtr-tiny
mtr -rwc 50 "$SERVER_IP"各行が経路上のルーターで、Loss% が損失率、Avg が平均の遅延です。遅延が大きく増える行は、たいてい太平洋を渡る区間です。
Windowsでは、コマンドプロンプトで次のように測れます。
ping -n 20 203.0.113.10
pathping 203.0.113.10ping が Request timed out. だけを返す場合、サーバーまで届いていないとは限りません。ファイアウォールがICMP(pingが使うプロトコル)を落としている可能性があります。Webサーバーを動かしているなら、curl でTCPの接続時間を測ります。
curl -o /dev/null -s -w 'connect: %{time_connect}s total: %{time_total}s\n' "http://$SERVER_IP/"connect がTCP接続にかかった秒数、total がレスポンスを受け取り終わるまでの秒数です。同じコマンドを国内のサーバーにも実行すると、差がはっきり分かります。
AWSの無料プラン:6か月で終わるクレジット
AWSの無料枠は、2025年7月15日に仕組みが変わりました。この日以降に作ったアカウントは、クレジット制の「無料プラン」になります。
2026年10月5日時点の公式ページの説明では、アカウントを作るとすぐに100ドル分のクレジットが付きます。いくつかのサービスを試すと、さらに最大100ドル分が追加されます。無料プランのアカウントは、作成から6か月が過ぎるか、クレジットを使い切った時点のどちらか早いほうで終わります。有料プランに切り替えないかぎり、料金は請求されません。
つまり、AWSの無料プランは期限付きの試用です。6か月のあいだに東京リージョンでEC2を試すには十分ですが、ずっと無料で動かせるサーバーではありません。続けて使う場合は、有料プランへの切り替えが必要です。
XServer VPSの無料プラン:国内だが、今は申し込めない
XServer VPSは2025年7月11日に無料プランを始めました。国内の事業者が提供する、数少ない無料のVPSです。2026年10月5日に公式ページで確認した仕様は次のとおりです。
- 2GBプラン:2 vCPU、NVMe SSD 30GB
- 4GBプラン:3 vCPU、NVMe SSD 30GB
- 回線速度は30Mbps
- 25番ポートを使った外部へのメール送信はできない
- 電話とメールでのサポートはない
- 申し込みにはクレジットカードの登録が必要
契約は最大24時間、更新は手動
無料プランで最も大きな条件は更新です。2026年7月22日17:00から、2GBと4GBの両方で契約期間が最大24時間になりました。それまでは2GBプランが最大96時間、4GBプランが最大48時間でした。更新ができるのは、残り時間が12時間になってからです。
更新はコントロールパネルから手で行います。更新しないと、サーバーは削除されます。公式ページは、更新を自動化するスクリプトやボットの利用を不正行為としています。つまり、毎日一度は自分でログインして更新ボタンを押す必要があります。旅行や体調不良で1日忘れると、サーバーとデータが消えます。
新規受付の状況(2026年10月5日確認)
XServer VPSは2026年7月10日のお知らせで、無料2GBプランと無料4GBプランの新規受付を一時停止しました。既に使っている人への影響はありません。再開時期は「決まり次第、改めてお知らせ」とされていて、2026年10月5日時点ではまだ発表がありません。
さらに2026年9月17日からは、有料プランを含むXServer VPS全体の新規受付も一時停止しています。こちらは2026年11月中の再開予定と発表されています。ただし、このお知らせは無料プランの再開には触れていません。無料プランを使いたい人は、XServer VPSの「お知らせ」ページで再開の告知を確認してください。
さくらのVPSなど、国内の無料お試し
国内のVPS事業者には、無料プランではなく「無料お試し」を用意しているところがあります。代表的なのはさくらのVPSです。
さくらのVPSは、支払い方法でクレジットカードを選んだ場合に、2週間の無料お試しが使えます。全プランが対象で、お試し中に作れるサーバーは2台までです。お試し期間が終わったあとの扱いは、申し込み画面の説明で確認してください。2週間で終わる前提なので、学習や動作確認には使えますが、無料で運用し続けることはできません。
国内の他の事業者も、時期によってクーポンや割引キャンペーンを出しています。こうした条件は数か月単位で入れ替わります。このページでは、公式ページで条件を確かめられたものだけを挙げています。
無料VPSの「無料」で払っているもの
無料VPSでもお金がかからないだけで、代わりに払っているものがあります。
- カード登録と本人確認:ここで挙げたサービスは、どれもクレジットカードの登録が必要です。カードがなければ、無料でも始められません。
- 回収と更新の手間:OCIはアイドルなインスタンスを回収します。XServer VPSは24時間ごとの手動更新が必要です。どちらも、放っておくとサーバーがなくなります。
- SLAがない:SLA(サービス品質保証)は、稼働率などを事業者が約束するものです。無料枠には、止まったときの補償を期待できません。
- 転送量と速度の上限:Google Cloudは送信が月1GB、XServer VPSの無料プランは30Mbpsです。アクセスが増えると、すぐに上限に当たります。
このため、無料VPSは本番のWebサイトや、お客様が使うサービスには向きません。勉強、検証、個人用の小さなツールには十分です。止まっても困らない使い方なら、無料枠はとても役に立ちます。
本番で使うなら、安い有料プランのほうが結局は安く済むことが多いです。毎日の更新作業や、回収されたあとの作り直しにも時間がかかるからです。月にいくら払えばどの程度のサーバーが使えるかは、VPSの料金の相場と、価格が決まる仕組みで整理しています。格安プランを選ぶときは、格安VPSの広告で確認すべき条件も合わせて読んでください。転送量やCPUの共有の仕方は、広告の大きな数字には出てきません。
どの無料VPSを選べばよいか
目的別に選ぶと、次のようになります。
- 国内で常時動く学習用サーバーがほしい:OCI Always Freeで、ホームリージョンを東京か大阪にする。回収に備えて、設定とデータを外に残しておく。
- x86で数日から数週間だけ試したい:さくらのVPSの2週間お試しか、AWSの無料プランを使う。期限が来る前にデータを移す。
- 米国のサーバーで構わない:Google Cloudのe2-micro。転送量の月1GBを超えないように、公開するものを絞る。
- 国内事業者の管理画面で練習したい:XServer VPSの無料プラン。ただし新規受付の再開を待つ必要がある。
FAQ
VPSは永久無料で使えますか?
日本のリージョンで期限なく無料で使えるのは、2026年10月5日時点ではOracle Cloud(OCI)のAlways Freeだけです。ホームリージョンを東京か大阪にすると、AMDの小型VM 2台と、Ampere A1の2 OCPU・12GB分が期限なしで使えます。Google Cloudのe2-microも期限はありませんが、米国のリージョンでしか動きません。AWSやさくらのVPSは期限付きの試用です。
Oracle Cloudで「Out of host capacity」と出てインスタンスが作れないのはなぜですか?
ホームリージョンに、Always Free用のシェイプの空きが一時的にないためです。設定の誤りではありません。時間を置いてから作り直してください。Always Freeのコンピュートはホームリージョンにしか作れず、ホームリージョンはあとから変えられないので、別のリージョンに切り替えて解決することはできません。
Oracle Cloudの無料インスタンスが消えたのはなぜですか?
アイドルと判定されて回収された可能性があります。7日間でCPU使用率の95パーセンタイルが20%未満、ネットワーク使用率が20%未満、そしてA1ではメモリ使用率も20%未満のとき、そのインスタンスはアイドルとみなされます。アクセスの少ないサーバーは当てはまりやすいので、設定をスクリプトに残し、データを別の場所にバックアップしておくと、すぐに作り直せます。
Google Cloudの無料e2-microを東京リージョンで使えますか?
使えません。無料枠のe2-microの対象は、us-west1、us-central1、us-east1の米国3リージョンだけです。東京や大阪で作ると通常の料金がかかります。米国のリージョンで作った場合、日本からの通信はすべて太平洋を越えるので、ping や mtr で自分の回線から遅延を測ってから使い道を決めてください。
XServer VPSの無料プランは今申し込めますか?
2026年10月5日時点では申し込めません。XServer VPSは2026年7月10日から無料2GBプランと無料4GBプランの新規受付を一時停止していて、再開時期は未定です。再開しても、契約は最大24時間で、残り12時間になってから手動で更新する必要があります。更新を忘れるとサーバーは削除されます。